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マガジン「沖縄で家づくり」読んでみてね!

天然記念物のオカヤドカリ

オカヤドカリは天然記念物であるのにもかかわらず飼育することができる、ある意味でかわった生きものです。

そこにはしたちょっとしたエピソードが。

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天然記念物になった経緯

1970年(昭和45年)、小笠原諸島に生息するオカヤドカリが稀少(かつ数が減少している)と認められ、天然記念物に指定されました。

しかし、その2年後の1972年に沖縄返還があり、現地へ行ってみるとビックリ。
オカヤドカリが沖縄にも生息していることが判明。しかも沖縄では生息数も(むちゃくちゃ)多かったのです。

当時、沖縄ではオカヤドカリは釣り餌に使われていました。
釣り餌用に専門の捕獲業者も存在していました。

当時のオカヤドカリの取り扱い量は50tを超えていたらしく、杓子定規に捕獲規制すると、生活に困る業者さんが出てくる規模だったそうな。

地元の人々からすると、その辺にたくさん歩いている生きもので、「え?これ天然記念物なの?とっちゃダメなの!?えー!?」って感じです。

仕方ないと、一部地域の指定業者に限り、時期・量を限定することで捕獲を認めることになったそうです。

オカヤドカリが天然記念物にもかかわらず、ペットショップや熱帯魚屋さんに売っているのは、このような経緯があるんですね。

オカヤドカリを捕獲することはできない

沖縄の海辺に行くと、とにかくオカヤドカリはたくさんいます(種類でいうと、ムラサキオカヤドカリ、ナキオカヤドカリが多い)。

浜辺へ行けば、石ころのように貝殻がポツポツあって、それがちょこちょこ動いていればだいたいはオカヤドカリ。
この状況は、沖縄へ旅行に行ったことがある人はよく分かると思います。

とにかくたくさんいるし、かわいらしいし、もの珍しいし。

しかもペットとして飼えるんですから、旅行者はつい「一匹拾って帰るかな」なんてやってしまいがちです。

しかししかーし!
オカヤドカリは天然記念物

一部地域の指定業者に限り、時期・量を限定することで捕獲を認めているだけであって、基本的にはオカヤドカリを捕獲することはできないんですね〜。あぁ〜。

天然記念物の指定上、文化財保護法違反に当てはまります。

オカヤドカリが天然記念物だなんて知らない人も多い

天然記念物の指定に戸惑った地元の人々の気持ちもわかります。

本当にたくさんいるんですもん。
ひょこひょこ歩いています。
「こんなにたくさんいるのに..?」と、思ったことでしょう。

昔からたくさんいるので、今でもオカヤドカリが天然記念物だなんて知らない人も結構います。

とはいえ、天然記念物指定のおかげもあって乱獲は免れているようです。その点は指定されてよかったんでしょうね。

こういった「よく目にすることのできる貴重な生態系」が、ずっと残れば良いなと思います。

レッドリストに載る4種のオカヤドカリ

さて天然記念物は文化庁の指定で文化財保護(生態保護じゃないんですね)。
一方で環境庁の絶滅危惧種(レッドデータ)という、絶滅が危惧される生き物のリストも存在します。

そして、オカヤドカリのなかには4種ほど、そのレッドデータに当てはまるものもいます。

  • サキシマオカヤドカリ
    絶滅危惧Ⅱ類
  • ヤシガニ
    絶滅危惧Ⅱ類
  • コムラサキオカヤドカリ
    準絶滅危惧種
  • オオナキオカヤドカリ
    準絶滅危惧種

絶滅危惧Ⅱ類・・・絶滅の危険が増大している。現状の問題が続けば”近い将来絶滅する”とされる「絶滅危惧I類」へ移行する。

準絶滅危惧種・・・存続基盤が脆弱な種。現時点で絶滅が危惧されるわけではないが、場所・状況によっては絶滅危惧Ⅱ類もあり得る。

資料2015年環境庁レッドリストデータ(その他 無脊椎動物)(PDFファイル) (外部リンク)

これらのオカヤドカリは生態の保護対象なので、基本的には飼育すべきでない種類です。

ちなみに外国産のオカヤドカリも、日本には持ち込み禁止。
国外産だとしてもサキシマオカヤドカリや、ヤシガニがペットショップなどで売られていることはありません。

自然保護と文化保護
絶滅危惧Ⅱ類といえど、沖縄の牧志公設市場で「食用」に生きたヤシガニが売られていたりします(ヤシガニを飼ってみたい場合、食用を買って飼育する人もいる)。貴重な生態とはいえ地元では昔からの大事な「味」。文化だから一概に禁止できないのです。しかし、市場に出回るヤシガニも、やはり数が減っている話を聞きます。自然保護と文化保護。近いうちに、そのバランスが問われるようになるのかもしれません。

数が多いにせよ少ないにせよ貴重な生態系なので、大切にしていきたいところですね。

もちろん正しい方法で手に入れて、オカヤドカリの理解を深めつつ、責任を持って飼育を楽しむのはとても良いことだと思います。
そして、それ以外のところでは、自然を保護する立場に立ってオカヤドカリを長期にわたって守っていく。

それが最善の考えかたなんだろうなと思います。

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